東京グラトンズ|グラトン食彩記:公爵の酢「バルサミコ酢」
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グラトン食彩記

公爵の酢「バルサミコ酢」

公爵の酢「バルサミコ酢」

世界で最も高価で気品のある酢と言われるバルサミコ酢は、北イタリア、エミリア・ロマーニャ州モデナ地方に伝わる伝統的な醸造酢である。
イタリア語でアチェート・バルサミコ(aceto balsamico)。
トラディツィオナーレ(tradizionale)と呼ばれる伝統的なバルサミコ酢を名乗るためには原料のぶどう品種や製法等イタリアの厳しい食の法律DOPに定められた基準をクリアしなければならない。
ぶどう汁を煮詰めて木の樽で長期間熟成させて作られるが、この際、樫、栗、桑など材質の違う樽へ1年ごとに移し替えることで、独特の複雑な味わいと香りを引き出すという。
またの名を"公爵の酢"とも言うが、これは11世紀モデナ地方を治めていたエステ公爵が自分の城に招いた客人にバルサミコ酢をアペリティフとして振舞ったことからそう呼ばれるようになったのだとか。
日本で広く知られるようになったのは1990年代以降だが、実は本国イタリアでも産地周辺以外では事情はそれほど変わらない。長らく一部の貴族の占有物であり、広くイタリア全土に知られるようになったのはここ数十年のことである。

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